軽貨物運送業のドライバーとして独立開業したときには営業活動のために名刺を作るのが基本です。その出来栄えや使い方によって個人事業主として事業を成功させられるかどうかが大きく左右されます。どのようなアピールの仕方をするのが合理的なのでしょうか。
もくじ
ただの連絡先情報という考え方は捨ててデザインしよう
軽貨物運送業の個人事業主として稼いでいくためにはクライアントからオーダーをもらえなければなりません。そのためにはいくつかのクライアントと強いパイプラインを作り上げることが肝心で、その起点として重要な役割を果たすのが名刺です。
氏名や事業者名と住所や電話番号、メールアドレスなどの連絡先が書いてあれば十分なものだと考えてしまう人もいるかもしれません。確かに用途という見方をすると、クライアントにとっては必要なときに参照して連絡先を確認するためのものです。
しかし、そのような考え方でデザインしてしまうとクライアントの頭の片隅にも残らなくなってしまう可能性があります。クライアント側は何か貨物を運搬して欲しいときに依頼できる相手をたくさん抱えていて、その中から誰に依頼するのが最も良いかを考えて選定しているのが基本だからです。
どのドライバーに依頼するかを名刺を並べたときに、デザインが美しくて目を引くものがあったら、そのドライバーにまずは連絡してみようと考えるのはもっともなことでしょう。ただ白地に名前と連絡先が書いてあるだけの薄い名刺には目を向けてくれないかもしれません。
このように他と比較されたときに選んでもらえるようにしようといった考え方でデザインするのが重要になります。デザインが凝っていれば良いという考えをしてしまう人もいますが、必ずしもその発想が良いとも言えません。あまりごちゃごちゃとしたデザインになっていて見るに耐えないものになってしまっているとまた候補から除外されてしまうでしょう。
そのデザインによってどんな人がドライバーかを想像していて、指定された荷物を予定通りの時間に取りに来て、間違いなく指定先に時刻通りに届けてくれる人が誰かを考えてオーダー先を決めているからです。できる限り目立つようにしながらも、決してマイナスな印象を持たれてしまわないように仕上げることが欠かせません。
基本的なアプローチとして知られていることをまず把握しておきましょう。見た目を重視するうえで肝心なのが色使いで、フルカラーにして色を数色使って彩りを良くするのが定石です。すでに提携先があるのならそのブランドカラーを取り入れてデザインするのも効果的でしょう。
一方、文字ははっきりとして見やすいようにし、あまり見慣れないようなフォントを多用しないようにするのが基本です。おしゃれにしようと考えて絵文字を使うのも悪くはありませんが、あまりカジュアルになり過ぎてしまうと信用が欠けてしまうリスクがあるので注意しなければなりません。
もう一つ重要なのが用紙の種類と厚さで、安っぽいという印象を持たれないようにするのが肝心です。通常よりも少し厚めにして光沢のある用紙を選ぶと重厚感もアピール力もある仕上がりになります。コストはやや高くなりますが、このちょっとした工夫だけでクライアントが持つ印象が大きく変わるので必要経費と考えるようにしましょう。
強みをフレーズと写真でアピールしよう
名刺をデザインするときに連絡先程度しか記載しないのはもったいないことで、もっとたくさんの情報を盛り込むことで営業ツールとして役に立つようなアピール力があるものに仕上がります。クライアントに選んでもらうためには自分にどんな強みがあるのかを理解してもらうのが大切です。
その強みがクライアントにとってメリットがあるものなら優先してオーダーしてくれるようになると期待できます。営業に訪問したときにその強みをアピールするのは必須ですが、オーダーをしようと思った頃にはクライアントがそれを忘れてしまっていることも少なくありません。
名刺を見たときに思い出してもらえるように、強みを記載しておくのが効果的な方法です。箇条書きで強みを一つずつ説明していくというのがよくおこなわれている方法ですが、あまりにも数が多かったり、冗長な説明になってしまったりしていると読むに堪えない仕上がりにあってしまう問題もあります。
可能なら強みを一言のフレーズにして箇条書きにするか、そのフレーズをスペース内に上手にちりばめるようにしましょう。フレーズにすることで記憶にも留まりやすくなるメリットがあり、訪問したときにもそのフレーズを目で見てもらいながら強みを説明すれば覚えていてくれる可能性すら高まります。キャッチフレーズの数も絞り込むことができれば挨拶のときからアピールに活用できるでしょう。
一方、写真を使ってアピールをするのも重要な方法で、デザイン的にも彩りが良くなるので好印象を持ってもらいやすいというメリットがあります。自分の顔写真を入れておくだけでも効果があり、営業に来たときの様子を思い出してこの人に依頼しようと考えてくれる可能性高まるでしょう。
また、家族で事業をおこなっているような場合には家族全員で仕事をしている写真を入れて、単独で仕事をしている人よりも人材力があるということを示すのも良い方法です。自分の強みと関連付けて、強みが見てわかるような作業をしている最中の写真を入れるのも効果的でしょう。
絵心がある人ならイラストで表現しても構いませんが、イラストより写真のほうがより現実味があるのでアピール力も高くなります。写真の撮り方や選び方でドライバーのセンスがわかるという面もあるので、慎重に厳選して使うようにしましょう。
営業ツールとしてさまざまな使い方を検討しよう
このようにして仕上げられた美しい名刺は営業ツールとして多様な用途があります。クライアントに訪問したときに渡すのは当然ですが、それ以外のシーンでも営業活動に利用することが可能です。例えば新規顧客となる企業を探したいと思ったときにはチラシを配ったり、ポスティングをしたりする方法がよく用いられています。
この際に渡すチラシやビラにホッチキスで名刺を留めておくと、誰がドライバーなのかを一目で理解してもらうことが可能です。特に顔写真付きになっていればよくわかってもらえるでしょう。メールで営業をする場合にも電子データを添付して送るとインパクトがかなり違い、この人になら任せてみても良いかもしれないと思ってくれる可能性が高まります。
ダイレクトメールなどのときも同様で封筒の中に同封しておけばしっかりと強みを伝えられるでしょう。相手に渡すだけでアピール力があるデザインに仕上げておけば、このようにさまざまなシーンで営業ツールになってくれるのです。
個人事業主として軽貨物運送業のドライバーになるなら営業力を確保してクライアントから仕事の依頼をもらえるようにすることが欠かせません。名刺はアピール力があって強みを伝えられる美しいデザインになっていると渡すだけでも魅力的な依頼先として捉えてもらえるようになります。
強みは短いフレーズにして一目でわかるようにし、可能であれば写真も組み合わせて直感的にも理解しやすいように仕上げるのが肝心です。このような名刺を用意できたらさまざまなシーンでアピール力がある営業ツールとして使えるので、独立開業のときには必要な準備として考えておきましょう。