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公開日:2022/02/15   最終更新日:2024/06/19

軽貨物ドライバーの頭を悩ませる再配達問題とは?解決策はあるのか

ここ数年、宅配件数がぐっと増えている一方で、不在票を投じることも多くなっていると思います。それぞれの都合があるとはいえ、一度で受け取ってほしいですよね。そこで今回は、ドライバーにとって再配達がどのように負担になっているのか、解決策はあるのか、についてお伝えしていきます。

もくじ

再配達は軽貨物ドライバーの負担になっている

再配達とは、ドライバーが荷物を配達先まで運んだが、自宅におらず宅配ボックスへの配達もできない場合に荷物を持ち帰り、再度配達することをいいます。

■時間と労力が取られていく

時間指定をしていても配達先の住人が不在であれば荷物を渡すことができません。置き配の指定がない場合は対面して玄関先で渡すことが必須なので、渡せなかった場合はドライバーが荷物を持っている状態になります。再度時間指定をしても不在であった場合や、宅配ボックスがすべて使われており持ち帰らざるを得ない状況になった場合も同じです。

受け取る側は、タイミングが合わなかった、と思い再度配達時間を指定して自宅で待っていればいいのですが、配達する側は指定された時間に間に合うよう、もう一度同じ道を走ることになります。時間も労力も倍取られるといっても過言ではないのです。

■報酬の少なさ

また、配達にかかる燃料費や報酬にも関係してきます。個人で軽貨物ドライバーをしている人たちは、配達の際に使用しているトラックの燃料代は、ドライバーの負担です。企業に勤めていても、そのように指示されている場合もあります。

しかし報酬は、配達1件単位でカウントされ、再配達で何度も同じ場所へ車を走らせても報酬は1件分しかもらえません。お客さんに振り回されて利益が少ない場合も充分にありえるのです。これでは、時間と体力が失われるだけです。働いた量と報酬が見合わず、退職を考える人が多いのは当然だといえます。

再配達が増加している理由

ではなぜ、再配達が増加しているのでしょうか。理由はこれらがあげられます。

■ネットショッピングが一般化した

ネットショッピングは、コロナ禍を機に驚くべきスピードで定着しました。それまでもネットショッピングはサービスとしてありましたが、スーパーや近場での買い物ありきでした。しかし、今やスーパーさえもネットショッピングで済ませる時代です。100円台の野菜も、薬局で買える歯ブラシもネットで購入することに抵抗がなくなってきつつあります。

働いている人の中には、お店が閉まる時間に帰宅するという人も少なくないので、ネットショッピングは便利で使いやすいツールといえます。小さなお子さんを抱えている人にとっても、玄関前まで商品を運んでくれるのはとても助かりますよね。

とはいえ、ネットショッピングで受取日時を指定するとなると手元に注文した商品が届くまでにかなり時間がかかります。指定ができるのが1週間後以降となっている場合も少なくありません。商品を使い始めるまでにゆとりが持てるのなら日時を指定しても間に合いますが、大抵の場合は“すぐ使いたいからネットで探している”のが現状です。

決済方法も、クレジットカードで支払うことがほとんどです。即時決済ができるので、即日や翌日発送の準備が整えられます。平日でも、朝の通勤の合間や昼休憩の5分で注文できるので、最短で翌日には自宅に届くという状態が実現するのです。

しかし、それはあくまでも最速なので、時間指定をできません。いつ来るのかわからず、前日までにメールが送られない場合もあるので、受け取る側としても時間を読めないのが難点です。その結果、外出している時間に配達がきてしまい不在票を投じる必要が出てしまうのです。

■ライフスタイルの多様化

私たちの親の世代は、父親が働いて、母親が専業主婦であった家庭が一般的でした。しかし今は夫婦共働きのスタイルが一般化しています。核家族が増えたことや物価の上昇により、1人分の給与では家計が回らず、ゆとりを持って生活するためには夫婦の稼ぎを合算してやっと貯金まで手が回る、そんな状況になっています。

そのため、専業主婦あれば自宅にいる時間が多く宅配も1回で受け取れたのですが、日中自宅にいることが少なくなり、不在票にて荷物の配達があったことを知らせる必要が出てきました。また、早い段階から一人暮らしを始める人も増えており、1世帯あたりの人数が減少していることもあり、在宅している可能性のほうが少なくなっています

ネットショッピングを日常的に利用しているのは、20代~30代が1番多いといわれています。これらの年代は、一人暮らしの社会人もしくは小さな子どもを持つ家庭に当てはまる人が多い年代です。スマートフォンを使いこなしている世代であるともいえます。これらの要因が重なって、再配達が増えているのだと考えられます。

再配達問題の原因

再配達の原因となることとしては以下のことがあげられるようです。

■指定の時間に在宅していない

配達時間を知らなかったという理由も含めて、これが最大の原因になります。即日配達のため時間を指定できず、ドライバーが回ってくる時間に在宅していない場合や、仕事で日中家を開けていることなどがあげられます。指定した時間を忘れて外出している場合や、急な予定で外出することになった場合もこの原因に当てはまるようです。

■置き配は指定されたときのみ、原則は手渡し

現在の宅配は、基本対面で荷物を手渡しされます。正しく本人に荷物を受け取ってもらうための工夫であり、その証明として受領印をもらわなければなりません。コロナ禍になってからは、宅配ボックスの認知と普及やできるだけ対面する時間を短くするために受領印不要となってきていますが、手渡しが原則というのは変わっていません。玄関前の置き配も、指定されていない場合は対面での受け取りになるため、荷物はドライバーが保管し再度配達することになります。

■受け取り側の居留守

対面での受け取りに抵抗を感じている人も少なくありません。人と接するのが苦手な人や、コロナ禍でできるだけ飛沫を浴びるリスクを減らしたいという人がいるからです。もちろん、それ自体は個人の感覚なので否定できません。しかし、居留守により受け取りを拒否されても不在票を投じて再配達となることに変わりはないので、ドライバーの負担になっているのです。

■再配達依頼の手軽さ

一度不在票を投じられても、そこに記載されているドライバーの携帯電話番号やQRコードから簡単に再配達依頼ができます。自分が確実に自宅にいる時間への変更も、ネット注文同様に3分足らずでできてしまうので、“あとで再配達依頼すればいいや”という気軽かつ手軽さも原因となっています。

再配達問題を解決する取り組み

このように再配達件数が増え、問題となっているので、ドライバーや会社側も負担を減らせるように工夫をしているようです。

■駅やコンビニに宅配ボックスを設置する

テレビCMでも放映されていますが、駅やコンビニに宅配ボックスを設置して、そこで荷物を受け取るシステムです。受け取る側は、自宅近くや最寄り駅の宅配ボックスを指定して荷物を受け取ります。配達が1回だけで済むことに加えて、受け取る側も在宅の必要がないので仕事帰りや外出の帰りにコンビニに寄って受け取ればよいという点も利点です。

■配送時間を前日までに知らせるサービス

大手の宅配会社では、前日までに宅配があることや宅配時間を知らせるサービスを行っています。会員登録をすれば、荷物の追跡やネットで注文した商品の配達があるなどの情報をメールもしくはLINEで知らせてくれるサービスです。配達時間に指定があればその時間帯も表示され、変更もできるので、翌日の配達を忘れることはなく、急な予定変更にも対応できます。

■戸建て・マンション問わず宅配ボックスの設置

マンションには宅配ボックスがついている場合もありますが、戸建てには基本ついていないことが多いです。最近になって建てた家ならば設計の段階で注文できますが、後付けでつけられるものもあります。置き配ボックスや袋を吊り下げておき荷物を入れてもらうなどです。

SNSでも、一軒家や自分の家のドア前の部分をうまく活用して使う方法を紹介しているので、チェックしてみるとよいでしょう。こうすることで、再配達せずとも荷物が配達でき、受け取る側も帰宅したときに荷物を受け取れるので、双方の手間が省けますね。

 

今回は、軽貨物ドライバーの再配達に関して、負担となっている原因や解決方法について紹介しました。再配達をするドライバーは、想像以上に身体的精神的負担が大きいことがわかりましたね。1回の配送で受け取れる工夫についてもお伝えしました。ドライバーの負担を減らすために再配達を減らす工夫をしてみてください。

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