軽貨物ドライバーとして独立開業すると、どんな仕事をこなすことになるのでしょうか。サラリーマンとは異なり、ある程度自由な働き方が可能になるとはいえ、仕事の内容が分からないと不安ですよね。この記事では、そんな軽貨物ドライバーの仕事の具体的なイメージが持てるよう、仕事の種類とその内容についてまとめました。
個人宅への配送【宅配・ルート配送】
軽貨物ドライバーの仕事内容は、大まかにいえば「輸送を依頼された荷物を、決められた場所へ配達すること」になります。郵便や宅配便でもそうですが、荷主がいて、届けて欲しい場所があり、荷主から預かった荷物を指定の時間までに指定の場所へ輸送します。
ただ、軽貨物ドライバーの場合「配達」といっても、いろいろな種類があります。その種類によっても、仕事の仕方が変わってきます。ここでは、その中からまず、継続的に配達する仕事として「宅配」と「ルート配送」について見ていきます。
■宅配
宅配は、文字通り、個人宅への配達を指します。大手の宅配便業者がいくつかありますが、それらの会社と業務委託契約やフランチャイズ契約を交わして宅配業務を行うものです。エリアごとに担当が分かれているので持ち場は基本的に変わりません。
「1個200円」などという形で契約し、1日に数十から200個程度を受け持って配達します。時間帯や時期によって配達する荷物の量は多少変わります。フルタイムで週5、6日の稼働も可能なことから、軽貨物の仕事では宅配が大きな割合を占めています。
その日によって荷物の量も異なるので、自分の持分が少ない日は近隣エリアにフォローへ行ったり、自分のエリアの持分が多ければ逆にフォローをしてもらったりしながら、仲間同士で助け合いながら配達を行います。配達に訪問した先が不在の場合は再配達もあることがあるため、そのときは大変ですが、慣れてくると担当できる荷物の個数が増えて、増収につなげられるようです。
■ルート配送
次に、「ルート配送」です。これは、特定のエリア内で、指定のルートを回りながら、それぞれのお客様へ配達する業務です。定期的に特定の品物を配送するような用途で利用されます。
個人宅宛であれば定期便としての配送、企業宛であれば、食品、資材、薬品、といった消耗品などの納品で配送に回ります。宅配と違って、決められたルートに従って、固定のお客様を回るので、効率的に配達できるメリットがあります。
そして、いつも同じ人と顔を合わせるので、お客様との距離が自然に近くなります。そこから次の仕事の引き合いにつながることもあるようです。お客様によっては配達先での受注、在庫管理の作業もあるので、コミュニケーション能力が必要になります。
単発の仕事【スポット便・チャーター便】
続いて、単発で受ける仕事について見ていきます。定期便と違って、突発的な仕事を請けられるので、フルタイムで働けない事情がある人は、スポット便を積極的に請ける形になってきます。
また、定期便と違って、いつも行くところが変わるので、どんなところに行けるか楽しみという声も聞かれます。金額の面でも1日当たりに換算したらスポット便のほうが稼げるように見えます。
ただし、定期的に受注できるわけではないため、どうしても収入は安定しにくいです。定期便の仕事の合間に単発の仕事を請けて収入を補うようにしている人もいます。ここでは、「スポット便」と「チャーター便」について紹介します。
■スポット便
スポット便とは、単発で依頼される軽貨物運送業務をいいます。荷主の希望に合わせて、指定された時間に指定された配達先へ荷物を運ぶ仕事のことを指します。定期便と違って不定期で仕事が入ります。その分、料金は高めに設定されることもあるようです。
スポット便は、定期便ではないので、その都度、いろいろな事情で発生した輸送需要に対応します。たとえば、空港に到着した荷物を受け取って、指定した場所へ運んでほしい、といった具合です。あるいは、繁忙期に人手が不足し、それを補う形で依頼されることもあるようです。とくに、軽貨物の車両は小回りが利くので、大型車には配送できないような場所への配送の依頼が入ることもあります。
■チャーター便
チャーター便は、スポット便と同様に単発で依頼される運送業務ですが、日時を決めて車両を貸し切るという契約になるため、その契約時間内であれば、依頼主は何度も利用できるところがスポット便と異なります。法人の依頼が圧倒的に多く、荷主も複数ではないので複雑な配達になることはありません。
ほかの荷物と混載しない荷主の貸し切りになるため、細かい注文に対応しやすいという特徴もあります。中には緊急を要する荷物で、時間が厳密に指定されているものもあります。運送料金は配達するエリアや時間ごとに金額が決まっており、荷物を運んだ距離で変動し、荷物の個数や大きさによって料金が変動することは少ないのも特徴です。また、チャーター便はそうした事情から長距離の案件が多いようです。
引越しの仕事
軽トラックを使用して引越しの荷物の運搬を行う業務です。最大積載量が350㎏ですので、主に学生や単身者の引越しなどでの利用がほとんどです。引越しの荷物を運ぶので、家具など大きな荷物も含まれます。そういう面では軽貨物の中ではとくに重労働の仕事になりますが、専門の引越し業者と比較すると格安ということもあって、引越しの仕事も増え続けています。専門の引越し業者との違いは、あくまで引越し荷物を運ぶ事がメインとなることです。
原則として、荷作りや荷解きなどの作業をドライバーは行いません。搬出してトラックに乗せて運搬し、送り届けた先へ荷下ろしするところまでが仕事です。引越し業者のように家具の配置を行うようなことはしません。
ただ、発注する側から見ると、どちらも家具を運んでくれる業者なので、専門の引越し業者とはあまりきちんと区別されない場合が多いでしょう。何が起こるかというと、引越し業者との比較です。「引越し業者に依頼したら、ここまでやってくれてこの価格だけど、軽貨物ドライバーに依頼したら運ぶだけ」という形で、値引きの交渉材料になることもあるようです。運送料が安くなりすぎないように価格を設定する必要があります。
もうひとつ気を付けるとすると、あくまで「荷物を運ぶ」ということが仕事なので、サービスのつもりで仕事を踏み込みすぎるとトラブルの元になりかねません。引越し業者としての認可を受けた業者と違い、あくまで荷物を預かって目的地へ運ぶことが仕事なのだということは認識しておかなければなりません。
また、軽貨物の車両は小さいため、場合によっては載せきれずに何度か往復することにもなるかもしれません。そういうことになると時間とコストが掛かってしまい、利益を得にくくなってしまうため、受注の時点で荷物の量をなるべく正確に把握することも必要でしょう。
まとめ
今回は、軽貨物ドライバーの仕事が具体的にイメージできるよう、仕事の種類とその内容についてまとめました。軽貨物ドライバーは、開業するに当たっての敷居が比較的低いのが特徴ですが、順調に仕事を引き受けて安定した収入にしていくためには、仕事の内容や特徴を知って、うまくマネジメントしていく必要があります。軽貨物ドライバーとして独立開業を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。