独立して軽貨物運送業になることを検討しているときに、それまでとは異なる「保険」について考える必要があります。会社に勤務していたときとは異なり、個人事業主になるため、ほかのだれかが保険について手続きを行ってくれることはありません。この記事では、加入すべき保険や手続きが必要な保険について、くわしく解説します。
もくじ
軽貨物運送業で独立開業したら社会保険はどうなる?
健康保険や年金保険などの社会保険は、会社を退職したら脱退することになりますが、辞めたあとは、無職であっても支払う必要があります。もちろん、独立開業し軽貨物運送業を始める場合も、手続きを行い支払うことになります。
個人事業主の場合の保険は、健康保険なら国民健康保険、年金は国民年金として支払います。これらの保険料は、全額を事業主が負担し、経費として計上することはできません。
さらに、会社勤務のときには、健康保険や年金保険の支払いは扶養家族分も含まれている場合がありますが、個人事業主なら家族それぞれが別個に国民健康保険・国民年金を支払う必要があります。
軽貨物運送業で独立開業したら加入すべき保険
車を運転する業務を行う個人事業主ということで、車に関する保険にも加入する必要があります。軽自動車の貨物運送業の場合、車のナンバーはいわゆる「黒ナンバー」を取得しますが、取得したらまず加入が義務づけられている自賠責保険に加入しなければなりません。
そのほかにも、加入するのが一般的な任意保険や、加入するのがおすすめの運送保険があるので、それぞれをくわしく解説します。
必ず加入する自賠責保険とは?
軽貨物の車両だけでなく、どの車であっても購入したら必ず加入する義務があるのが自賠責保険です。保険会社もいろいろありますが、自賠責保険の補償内容・料金はどの保険会社も変わらず同じで、一律で決められているものになります。
加入するのが一般的である任意保険とは?
任意保険は、その名の通り加入するのが義務ではありませんが、車を所有し運転するほとんどの人が加入しています。自賠責保険は、被害者のみ補償を受けられる保険であり、交通事故の内容によっては補償が十分ではないこともあります。
しかし、任意保険に加入していることで、被害者だけでなく加害者、車に関しても補償の対象になるので、万が一のときでも安心です。任意保険にも種類がありますが、とくに、対人・対物の保険は加入しておくのがおすすめです。
開業するなら加入すべき運送保険とは?
万が一、運送中に荷物が損傷したときに備えて加入するのが、運送業者貨物賠償責任保険(通称:運送保険)です。この保険に加入し、荷崩れなど起こさないように安全運転を心がけていれば必要ないと思いがちですが、事故やトラブルはいつ起こるかわかりません。そのため、荷物がダメージを受けて、莫大な損害賠償を請求されるかもしれません。加入した方がよいでしょう。
黒ナンバーの任意保険も加入しておくのがおすすめ
一般の車である自家用車と比較して、黒ナンバーである軽貨物運送業の車なら、使用する頻度も多ければ走行距離もそれに比例して多くなるものです。頻繁に使用し運転する時間も長くなれば、事故に遭うリスクも増えます。
そのため、補償が限られている自賠責保険だけでなく、任意保険にも必ず加入すべきです。軽貨物運送業に使用する黒ナンバーの任意保険は、一般の任意保険とどのような点が異なるのか解説します。
保険料が高くなる
使用頻度が高く事故のリスクもその分高くなるということで、自家用車と比較して保険料が高くなります。
取り扱う保険会社は多くない
一般の車にかける任意保険を扱う保険会社は多いのですが、黒ナンバーの場合は扱う保険会社がそれほど多くありません。数多くの保険会社のなかから比較することができないということですが、大手の保険会社なら扱っていることもあるので、ぜひ検討してみて下さい。
保険会社選びに迷ったときのポイント
保険会社によって保険料の額は異なりますし、これから独立開業するなら少しでも安いほうを選んでしまいたくなるかもしれません。しかし、安いということはそれなりの理由があり、万が一のときの保証内容や対応に差が出てくるものです。もちろん価格を比較することも大切ですが、それだけではなく事故や故障の際の対応にも注目してみてください。
また、取り扱う保険会社多くないということで、黒ナンバーの任意保険を申し込む際は保険会社の営業所や代理店に出向き、担当者と対面し手続きを行います。その際は、わからないことや不安なことがあればそのままにせず、必ず担当者に相談するようにしてください。
まとめ
個人事業主として軽貨物運送業を開業するなら、社会保険と車に関する保険の加入手続きはしっかりと行いましょう。義務として支払わなければならない健康保険や年金保険は、会社勤務のときとは異なり、家族の分の手続きも別個に行わなければなりません。黒ナンバーの自賠責保険に加入するのはもちろんですが、任意保険についても黒ナンバー用の保険に加入し、万が一の事故やトラブルに備えるようにしましょう。