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公開日:2022/06/15  最終更新日:2022/06/29

軽貨物ドライバーにおける“業務委託”と“正社員”の違いとは?


軽貨物ドライバーは未経験でも始めやすく働いた分が収入になると話題になっています。今回は、近年異業種からの転職者も増えつつある軽貨物ドライバーについて、業務委託と正社員のどちらがよいのかメリットやデメリットを比較します。興味がある方や検討している方は参考にしてください。

業務委託の軽貨物ドライバーとして働くメリット・デメリット

軽貨物ドライバーの正式な事業名称は貨物軽自動車運送事業です。軽バン車両や軽トラックなどの軽自動車を使用する貨物事業のことをいいます。運送会社で正社員として働く場合と、軽貨物事業主などと業務委託契約を結び、仕事を受託して働く業務委託があります。業務委託と正社員の大きな違いは依頼主との関係です。

業務委託は通常、個人事業主として開業し、業務委託ドライバーとして働きます。依頼主と雇用契約を交わしません。雇われる立場ではないので、労働者とはならず同等な関係です。自分に合ったものを荷主や軽貨物事業者と取り決め仕事をします。そのほか、業務委託と正社員の違いは、収入の安定性、年金や健康保険の支払い、所得税の納付方法などがあるので、メリット・デメリットに分けて見ていきましょう。

メリット1
努力次第で高収入が可能

毎月決まった給与が支払われる正社員に対して、業務委託は収入が安定していない傾向にありますが、働いた分収入になるというメリットがあります。成果が報酬に反映するので、高いモチベーションで仕事に臨むことができれば高収入につながる可能性があります。自分の頑張りが収入です。

メリット2
仕事の環境や時間を自分で決められる

正社員は与えられた仕事をこなしますが、業務委託はすべて自分で決めます。業務委託は、基本、個人で開業手続きをして個人事業主になるため、働き方が自由です。自分に合った仕事を選び計画を立てるとこができます。また、上司や部下の関係性がないため、職場の人間関係のしがらみでわずらわされることがありません。

メリット3
はじめやすい

必要な資格は普通自動車免許のみです。軽貨物車両があれば、年齢や性別、学歴など関係なく誰でも始めることができます。

デメリット1
休むのが困難

会社勤めではないため、労働基準法が適用されず、有給休暇や育児休暇などがありません。ケガや体調を崩して休んだ場合などは収入がなくなります。

デメリット2
自分でやることが多い

個人事業主になると、自分で国民年金や国民健康保険に加入申請して全額支払わなければなりません。所得税の確定申告も自分で申告しなければいけません。そのため、ガソリン代や車検代など経費にかかる領収書はすべて保管し、毎月の収入と支出の帳簿を記録しておく必要があります。

デメリット3
後ろ盾の会社がない

会社勤めの正社員の場合は、トラブルやミスを犯しても、最終的には上司や会社が責任を取ってくれますが、個人事業主の業務委託ドライバーは、すべて自分で責任を取らなければいけません。たとえば、荷物の紛失や壊した場合、弁償するのは自分です。また、指定された場所や時間に荷物を届けられなかった場合の損害も自分が支払わなければいけません。このように、トラブルが起きた場合、すべて自分で処理しなければいけません。深刻なトラブルの場合は、次の仕事に結びつかなくなるケースが多いので、信用を失うトラブルはもっとも避けるべきことです。

デメリット4
交通事故のリスクがある

軽貨物の配送業務は、小回りがきく特徴を生かして狭い路地を頻繁に通り、停車と発進を繰り返します。ナビを見て配送先を確認しながら運転することもあり、交通事故を起こす確率は高くなります。

正社員の軽貨物ドライバーとして働く場合のメリット・デメリット

昨今は、多くの運送会社でドライバー不足が問題になり、常にドライバーの正社員募集がたくさんあるのです。正社員として働く場合のメリットやデメリットを見ていきます。

メリット1
収入が安定している

正社員の給料は急に上がることは滅多にありませんが、毎月安定した収入が得られることと、ボーナスがあります。

メリット2
労働基準法が適用される

正社員は、企業と雇用契約を交わして雇われるため、労働者となり労働基準法が適用され法律で守られるのです。休日出勤や残業を強いられることはなく、有給休暇や育児休暇をとって休むことができます。休んだからその分収入が減るということはありません。法律で守られるので安心して働くことができます。

メリット3
健康保険や所得税の申告は会社がやってくれる

正社員は厚生年金に加入しますが、半額は会社が負担してくれるでしょう。所得税は毎月の給料から天引きされるため、自分で申告する必要はありません。

メリット4
軽貨物車両のメンテナンスはすべて会社の経費

業務委託の場合は、ガソリン代や車検などの経費はすべて会社が負担するので、支払う必要はありません。

メリット5
社会的な信用度が高い

家や車などの大きな買い物をする場合、正社員は収入が安定しているので、ローンを組みやすく、クレジットの審査も通りやすいといわれます。

デメリット1
収入が上がることがそこまではない

正社員は安定した収入が得られる反面、急に上がることは、ほとんどありません。いくら仕事をこなしても収入は一緒です。

デメリット2
規則にしばられる

正社員は、労働基準法などの法律で守られていますが、常に就業規則に従わなければいけません。

結局、業務委託と正社員どちらの働き方がおすすめ?

業務委託か正社員か、働き方のポイントをひとことでいうなら、自由を求めるか安定を求めるかです。これは、向き不向きとライフスタイルによります。業務委託ドライバーが向いている人、正社員ドライバーが向いている人をそれぞれ分けて見ていきます。どちらの働き方がおすすめかは、自分がどちらの働き方が向いているかをあてはめて、考えてみてください。

業務委託ドライバーが向いている人

①自分で勉強して情報収集するのが好きな人は向いています。健康保険の申請や所得税の確定申告など自分でしなければいけないものが多いので、自分で勉強したり調べたりするのが苦にならないとやっていけません。

②仕事のスケジュールを適切に管理できる人は向いています。自分のやり方で自由に仕事を進めたいといっても、スケジュール管理ができなければ向いているとはいえません。

③トラブルが起きた場合に冷静に問題解決を考えられる人は向いています。日によって荷物の量や天候、交通事情は違います。臨機応変に動ける力が必要になるでしょう。たとえば、交通事故に巻き込まれた場合や自分が起こしてしまった場合などに、即座に報告、連絡、相談ができて冷静に解決できる人は向いているようです。

正社員ドライバーが向いている人

①仕事には、やりがいよりも安定を求める人

②一人で仕事をするよりも、グループやチームで仕事を進めていくのが好きな人

③仕事に関する勉強のために多くの時間を費やしたくない人

④スケジュール管理が苦手な人

⑤面倒な交渉や大きな責任がある仕事はしたくない人

 

軽貨物ドライバーにおいて業務委託と正社員の違いを比較してみると、かなり違いがありました。一言でいうと、自分ですべて決めていくスタイルの業務委託か安定を好む正社員かになりますが、さらに、いずれ起業したいけど今は安定した収入を得たいという人もいるかも知れません。そういう人は、今は正社員ドライバーとして働きながら、軽貨物企業の財務の勉強をしておくとよいでしょう。毎月かかる経費や売り上げなどをシミュレーションすることができます。

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