軽貨物での独立開業は飲食店などと比較しても開業資金や手続きのハードルが低く、ずっとオフィスワーカーとして働き続けていた方の独立事業としてなかなか相性がよいと言えます。そんな軽貨物での独立開業にはさまざまなルートがあり、その1つが特定の会社に所属し業務委託契約を結ぶことによって独立開業を行うという形態です。
今までに開業あるいは独立して仕事を行ったことのない方にとっては、ふつうの個人事業主とどこが異なるのかいまいち分かりづらいかもしれませんが、業務委託での開業というのはさまざまな特徴や注意点があるのです。この項目では、業務委託での軽貨物独立開業に関するあれこれについて説明を行っていきます。
軽貨物での業務委託とは?
この記事を読んでいるみなさまの中には、はじめて独立をするので開業方法や業務委託の意味合いがよくわからないという方もおられるでしょう。そのような方々を対象に、この項目では軽貨物における業務委託の意味や特徴について解説していきます。
企業と対等の立場で働く
業務委託というのは簡単に言えば、特定の企業と契約を結ぶことによってその会社が担っている業務の一部を代行することです。この説明だと会社員と同様かと思われるかもしれませんがそうではなく、立場が大きく異なります。あくまでも「雇われる人間」である会社員とは異なり、業務委託契約を結んだ事業者は企業と対等の立場として接していきます。
自由度の高さが大きなメリット
通常の会社員契約と業務委託契約が大きく異なるポイントは、その働き方の違いです。会社員の場合は企業から雇用されているので、指示を受ければたとえ自分の不得意な分野の仕事であったとしても従事しなければなりません。また、「働き方がよくない」という指摘があれば、それを無視することもできないでしょう。
それに比べ、企業と対等な関係にある業務委託契約では契約にさえ沿っていれば、自分の好きな働き方で好きな仕事を専門的に行うことができます。ですので、プロフェッショナル志向の方にとっては自分の強みを活かせる事業形態であると言えるのです。
それに加え、契約内容によっては出社する必要がなく、好きな勤務地、好きな勤務時間で仕事に従事することも可能です。こうした自由度の高さが、業務委託契約最大の特徴にしてメリットであると言えるでしょう。
企業から安定して仕事を請けられる
また、委託先の企業から定期的に仕事を受注できるというのも業務委託契約のメリットのひとつと言えるでしょう。軽貨物に限らず独立したてのころは人脈が心もとないので安定した利益を確保しづらいですが、業務委託契約であればそうした悩みも解消し、スムーズな運営が期待できるのです。
加えて社会保障や福祉に関する報酬の差し引きもなく、社員よりも高額の利益が与えられるケースが多いのも魅力的です。
軽貨物業務委託で起こり得る失敗
先述した通り、ポジティブな特徴がたくさんある業務委託契約ではありますが、必ずしもそうではありません。業務委託契約は時としてトラブルや労働問題の温床となります。いったいなぜなのか、この項目にて例を挙げながら解説していきます。
業務委託なのに実態が会社員と変わらない
事業者として特定の企業と契約を結んだにも関わらず、その後の働き方はまったく社員と同じで、まったく自由度がない。そういったトラブルが少なからずあるようです。
こうしたいわゆる「名ばかり業務委託」は日本各地で事例が報告されており、労働問題のひとつとして対策が求められています。なぜ企業がこのような契約をさせるのかというと、形の上だけ業務委託を結ぶことによって雇用者として求められる責任を回避し、なおかつ実質的には社員として扱うことによって報酬の支払いを抑えるという意図があるからです。
突然契約を解除されてしまった
「業務委託契約後、とくに大きな問題もなく仕事をこなしていたにも関わらず、突然企業から契約を解除すると言われてしまった」といったようなことも起こり得ます。
こういったことが起こる原因は、事業主の立場の弱さによるものです。業務委託を結ぶ事業主は会社員と異なり労働基準法でその立場を守られていません。そのため、会社員よりもはるかにたやすく関係を解消させることができるようになっています。
こうしたことが起きた場合、事業主は大きな経済的な打撃を受けてしまい、場合によっては事業を撤退せざるを得なくなるおそれもあります。
社会保障や責任のフォローが薄い
病気になってしまったり業務中に物損事故などが起きてしまった場合、社員は企業からさまざまなサポートを受け、その損失を軽減することができます。しかし、業務委託を結んだ事業主の場合はその限りではありません。
病気で仕事に穴が空いてしまっても代行してくれる人間がいる保障はなく、もし物損事故などを発生させてしまえば、その責任はすべて自分自身で被ることとなります。ですので、ミスや健康管理に関してはそれほど融通が利かないとも言えるでしょう。
軽貨物業務委託で注意すべきこと
それでは、先述したような失敗を防ぐには、どのような点に注意を払えばよいのでしょうか。この項目で解説していきます。
契約内容は入念な確認を
契約書というのは文字が細かくびっしりと書かれていることが多いためほとんどの方は読み飛ばしてしまいがちですが、とくに業務委託契約を結ぶにあたってはしっかり読み込んでおくことをおすすめします。ひょっとすると、自分にとって不利益な内容が記載されているかもしれないからです。
契約内容を事前にリサーチしておけば、名ばかり業務委託を行わせるような企業に騙されてしまう可能性も減らせますし、その他さまざまな認識の違いによるトラブルも防止できるでしょう。契約書に加え、公式HPや求人票などもチェックを怠らないようにしてください。
誠実で謙虚な対応を
非常に単純なことのように思われるかもしれませんが、業務委託契約においては生命線です。企業が不満を覚えれば、契約者は会社員よりもたやすく契約を解除されてしまいます。態度の悪い業者、仕事がいい加減な業者とは、企業側も長く付き合いたいとは思わないはずです。
事業主になると一国一城の主ですのでいかんせん態度も大きくなってしまいがちですが、基本的なマナーを忘れず、誠実な言動を心掛けましょう。
各種保険への加入でトラブル防止を
事業主であれば、発生が予測されるトラブルについても自分で対策を行わなければなりません。たとえばケガ・病気には生命保険、物損事故については損害保険などです。これらに加入しておくことによって、将来的な損失を防ぐことができます。
軽貨物業務においてケガや病気、そして物損は決して無視できない問題ですから、しっかり対策をしておきましょう。
優良企業との業務委託で安定収入を
現在、業務委託という形態で軽貨物の独立サポートを行ってくれる企業はたくさん存在しています。そのレベルはいわゆる「ピンキリ」であり、どこと契約を結ぶかによっても事業の利益は大きく変わってくることが予測されるでしょう。
ですので、業務委託契約を結ぶ際は契約書などをくまなくチェックし、しっかり比較検討を行うこともまた重要だと言えます。